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【連載】しまねの国保連載第55回 ​つながりと身体活動編「つながりで健康が決まる!?」

 みなさんこんにちは。雲南市の北湯口です。

 平成26年度のスタートからおかげさまで10年目を迎えました。本コーナーでは、読者の皆さんの活動的なライフスタイルを後押しすべく、身体活動(=生活活動+運動)の概念を正しくお伝えするとともに、科学的根拠に基づく確かでタイムリーな情報をお届けすることを目的としています。身体活動のコツをしっかり掴んでいただけるよう、今年度もやさしくわかりやすい発信を心がけたいと思います。

 さて、今年度のテーマは“つながりと身体活動”です。人と人とのつながりが、実は私たちの身体活動や健康にも影響しています。最新の研究や身近な事例をまじえながら、身体活動や健康づくりでのつながりの大切さや実践上のコツについて、紹介していきたいと思います。

 この1年間もお付き合いをお願いします!


つながりで健康が決まる!?


 多かれ少なかれ、私たちは人や社会と〝つながり〟を持ちながら日々を過ごしています。ごく当たり前のことですが、そんな〝社会的なつながり〟がもし自分の健康を左右しているとわかったら、皆さんはどうしますか?

 ご存じの方も多いと思いますが、これまでの多くの研究から、社会的なつながりが良好な状態にあることは、不健康な生活習慣を見直すことと同等かそれ以上に、健康や寿命によい影響を及ぼすことがわかってきています。

 代表的な研究の結果を図に示します※1。なお、図中の横棒の長さは死亡率減少に対する各要因の影響度合いを表しています。これを見ると、肥満や不活発、たばこやアルコールといった代表的な不健康要因を改善することを抑えて、「社会的関係性(が良好な状態にあること)」が最も死亡率減少との関連性が強いことがわかります。社会的なつながりや関係性が良好であるというのは、人との交流が適度にあり、その関係の質がよい(例:不安が少ない、居心地がよい)状態を指します。この結果は裏を返せば、孤独や孤立で、安全と思える居場所がなく、安心できない関係性の中にいるような状態が、健康や寿命にとって大きな脅威になることを示唆しています。


図1 つながり(社会的関係性)の良好さは死亡率減少に影響し、その強さは禁煙に匹敵する (文献1 をもとに著者作成)


あなたのつながりは良好ですか?


 ところで皆さん(や身近な方)は今、社会的なつながりの状態が良好な状態と言えるでしょうか?

 もし、社会とのつながりが希薄で、つながりがあっても不安で、安全に思える居場所が少ないと思える場合は、これからの健康のためにも社会的なつながりから見直してみる必要があるかもしれません。家族や友人、地域や職場、趣味や習い事などへの関わりが社会的なつながりと言えますが、その状況は人それぞれですし、仮に見直したほうがよいとしても、それらは簡単に変えられるものばかりではありません。ただ、いわゆる〝人付き合い〟が、これからの健康や寿命に影響してくる可能性の大きさを考えれば、そのあり方をまったく考えないで過ごしていくことが得策とは思えません。


「身体活動のコツ」としての社会的なつながり


 そこで皆さんにお伝えしたいのが、身体活動を維持向上する観点からよりよい社会的なつながりを考える、ということです。社会的なつながりが健康や寿命に影響すると言われてもあまりピンと来ないかもしれませんが、身体活動と社会的なつながりとの密接な関係を体験的(例:友人とスポーツをする)にイメージできる人は多いと思います。

 今年度の連載では、皆さんの身近にある社会的なつながりと身体活動の関係性を知っていただくことを通じて、本稿テーマでもある「身体活動のコツ」を身につけることはもとより、社会的なつながりを無理なく生かした健康的なライフスタイルづくりに役立てていただければと考えています。(続く)


(参考)

1.Holt-Lunstad J, Smith TB, Layton JB(2010)Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review. PLoS Med 7(7):

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