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【連載】しまねの国保連載第49回 ​働き盛り世代の身体活動編「働き盛り世代って何歳ごろ?」

 みなさんこんにちは。雲南市の北湯口です。

 平成26年度のスタートからおかげさまで9年目を迎えました。本コーナーでは、読者の皆さんの活動的なライフスタイルを後押しすべく、身体活動(=生活活動+運動)の概念を正しくお伝えするとともに、科学的根拠に基づく確かでタイムリーな情報をお届けすることを目的としています。身体活動のコツをしっかり掴んでいただけるよう、今年度もやさしくわかりやすい発信を心がけたいと思います。

 さて、今年度のテーマは“働き盛り世代の身体活動”です。昨年度は「子どもの身体活動を知ることで私たち大人世代の身体活動を振り返りましょう!」という、ややまわりくどいお話でしたが、いよいよ読者諸氏にピンポイントのお話をしたいと思います。

 この1年間もお付き合いをお願いします!


働き盛り世代って何歳ごろ?


 「働き盛り」とはいったいどのあたりの年代を指すのでしょうか?調べると明確な年齢区分はないようですが、国内外を含め、35歳から60歳代前半にかけての年代を指すことが多いようです(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。35歳と言えば、一般には社会人となって十数年が経過し、仕事にも脂が乗ってくる頃です。その後、40代から60代にかけては、経験とともに職務の幅や責任がますます大きくなり、さらに忙しく働く日々が続いていきます。

 働き盛りは「壮年期」とも言われ、その意味は、“一生のうちで最も盛んに仕事ができる年ごろ”とか“心身ともに成熟して働き盛りの年ごろ”(出典:コトバンク)とされています。最初の意味なら若い年代でも当てはまりそうですし、“心身ともに成熟”と言われれば

40代くらいからかなとも思えますが、ズバリこの年代と言い切れるものではなく、シチュエーション次第で使われ方や捉え方もさまざまになっていい言葉のようです。

 そこで本稿では、「働き盛り」の意味を幅広くとらえ、特に年代は限定せずに“仕事や家庭などの社会生活全般において盛んに活動する世代”と定義し、仕事や家庭、地域社会での活動など、さまざまな場面で重要な役割を担っている方々の身体活動に焦点を当ててお話を進めていきたいと思います。


実は高い、健康(運動)意識


 働き盛り世代は、仕事が充実して責任も増えてくる一方で、子育てや地域活動など家庭や地域社会での役割や負担も重なってくるなど、とにかく多忙を極めます。相手のある仕事や生活に多大なエネルギーと時間を費やさざるをえなくなり、自分のこと、とりわけ健康面が二の次になりがちです。とはいえ、健康意識が決して低いわけではありません。国の調査によれば、働き盛り世代(図1では30~59歳とします) において運動習慣を改善することに関心を持つ人は、男女ともに約9割にものぼります。しかも、5~6割の人たちは、これから改善するつもりがあったり、既に改善に取り組んでいる人たち(既に運動習慣があって改善の必要を感じていない人も含む)でした。働き盛り世代の運動不足は健康づくり分野ではしばしば問題に挙がりますが、実は、運動意識は非常に高く、その実践者も意外と多いことが国の調査からうかがえます。

 一方で、「改善することに関心がない」、「関心はあるが改善するつもりはない」と答える人も3~4割を占めていました。前者は改善する関心も意思もないという人たちですが、後者はあくまで関心がある人たちですので「改善したくない」というより「改善したくてもできない(わかっちゃいるけど運動する時間がとれない)」ことが主な理由ではないかと考えています。いずれにしても、このカテゴリに属する人たちは、確実に自分の健康(身体活動や運動の実践)が二の次になっている方々と言えます。


図1 運動習慣改善の意思(20歳以上、性・年齢階級別)(厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」結果データを元に著者作成)

今年度の内容は…


 余暇時間がとりわけ限られてしまい、自らの健康が二の次になりがちな働き盛り世代。今年度はそんな働き盛り世代の身体活動の実践を少しでも後押しすることができるようなお話ができればと思っています。今後の内容としては、「子育て中、からだが悲鳴を上げている

!?」「労働者(座り仕事、立ち仕事)の身体活動の実態は?」「介護・医療従事者は身体“過”活動!?」「農作業従事者のからだのケア」などを予定しています。(続く)

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