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【連載】しまねの国保連載第47回 ​つながりと身体活動編「やっぱり、多様な運動経験が大事」

 みなさんこんにちは。雲南市の北湯口です。

 新年を迎え、気持ち新たに目標を立てた方もおられると思います。私の去年の目標は、「早寝早起き」でした(笑)。子どもみたいな目標ですが、健康第一を考えた結果です。若いつもりですが、一昔前のような無理はさすがに利かなくなってきたと感じます。だからこそ、休養時間をまずはしっかり確保して生活リズムを整えよう、と思ったのです。この目標に合わせて仕事も生活のスタイルも少し変えてみましたが、成果は上々で、いろいろうまく回っている気はしています。毎朝の運動と勉強習慣が身についた(小学生みたい)のは思わぬ副産物でしたが、つい仕事が気になって情報収集もしてしまい早朝から仕事モードになってしまうので、今年はそこを見直そうかと思っています。

 さて、厳冬の予報があたっていれば、本号発刊時には雪害も出始めているかもしれません。その一つとも言えますが、雪道(特に凍結路面)の歩行時には特に転倒の危険性が高まります。急がず余裕を持ち、小さな歩幅で足裏全体をつけてソロソロと「すり足」のように

歩くことが、予防のポイントです。もし転倒しても受け身がとれるよう、荷物で手がふさがらないような工夫も大切です※1。また、転倒を恐れて家に閉じこもりがちになると、筋力もすぐに低下してしまいます。家の中でも、適度にからだを動かしましょう。

 さて、今号では、トップアスリートの幼少年期の運動・スポーツ歴から、多様な運動経験の重要性について考えたいと思います。よろしくお願いします!


東京2020オリパラにみた、スポーツの可能性


 東京2020オリンピック・パラリンピックの終了から約半年が経過しました。新型コロナ感染症の収束する兆しが見えない中での開催に不安の声もありましたが、いざ始まれば多くの人々が熱い応援を送ったことと思います。各国から参加した選手たちの高度なパフォーマンスや競技に向き合う姿勢に、勇気と感動を与えられたという人も多かったのではないでしょうか。

 私の身近でも、デイサービスを利用している高齢者が、障害を乗り越えて競技に挑んでいるパラリンピアンの姿に感動し、それまで足腰が痛くて敬遠していた体操メニューに真剣に取り組むようになったという話を聞きました。自国開催で連日たくさんの競技が日中リアルタイムで報道された影響も大きかったと思います。スポーツは、「する」だけではなく、「みる」だけでも、人々によい影響を与えうるのだと実感しました。身近の小さな事例に過ぎませんが、スポーツの持つ価値や可能性を新たな形で認識できた大会となりました。


トップアスリートの秘訣(ひけつ)は、早期専門化!?


 ところで、オリンピックに出場するようなトップアスリートは、小さな頃からその競技スポーツに取り組んでいるものなのでしょうか?

 少し古い情報ですが、2004年アテネオリンピックの出場選手(10種目、計4455人)を対象に、競技の開始年齢を調べた研究があります※2。その研究によると、就学前(超早期)から競技を開始した人は選手全体の15%程度と、そこまで多くありませんでした。ただ、種目間で違いが見られ、メジャーな種目では、陸上選手の就学前の開始割合は5%未満でしたが、水泳選手では約30% が就学前に競技を開始していました。開始年齢の平均をみても、陸上選手の14歳に対し、水泳選手は8歳と、大きな差があります。一概に「早ければ早いほどよい」というわけではないようですが、種目によっては早くから専門的な指導を受けてスポーツに取り組む(早期専門化)ことがトップアスリートになっていく要素の一つと言えるかもしれません。

 ところが、この早期専門化は、将来の競技結果に大きな利点とはならないばかりか、身体の使い過ぎによる傷害リスクやドロップアウト(燃え尽き症候群)など弊害のリスクも高めてしまう可能性が近年指摘されはじめています。


複数のスポーツ経験がカギ


 実際、よい結果(競技成績がよく、競技の継続性も高い)を残すのは、単一の種目だけで早期専門化したアスリートではなく、幼少年期に複数の運動・スポーツを十分に経験した後に、自分の適性に合った種目で専門化してきた選手のようです※3。もちろんこれはすべての競技に当てはまるものではなく、新体操など高い技術や芸術性を要する競技では早期専門化が重視される場合もあります※4。ただ、競技パフォーマンスの面で有利ではあっても、先述のような早期専門化の弊害が避けられるわけではないので、その点に対する十分な配慮が当然ながら並行して必要となってきます。


やっぱり、多様な運動経験が大事


 トップアスリート事情は私たちの日常とはかけ離れた世界の話で、あまり関係ないことのように思えるかもしれません。しかし現代のアスリート育成では、幼少年期の多様な運動経験がとりわけ重視されており、この考え方はこれまで本誌で紹介してきた内容とも通底しています。

 日本スポーツ協会から発行されている「発育期のスポーツ活動ガイド」では、3─9歳にかけては遊びを含めた多様な運動を楽しみながらさまざまな動きを身につけさせること(あくまで子どもが主体で、大人の関与は少なく)、そして10─15歳にかけては多様なスポーツを経験して専門的なトレーニングを始めること(子どもの適性を考慮して競技・種目の選定や転向を柔軟に行う)、を重視するよう示されています※5。文部科学省の「幼児期運動指針」や、前号で紹介した雲南市の「幼児期運動プログラム」も基本的な考え方やねらいとしているところは同じです。


遊びやスポーツの主体は、子ども


 幼少期の遊びや運動・スポーツの経験は、身体面だけでなく、生活面や心理面、そして社会性の成長・発達にも重要な影響を与えます。そこに大人の関わりは決して欠かせないものです。ただ、子どもにとっての遊びや運動・スポーツが、いつのまにか大人のものになっていないかは、常に心に留め置かねばなりません※6。(続く)


(参考)

1.ウィンターライフ推進協議会.札幌発!冬みちを安全・快適に歩くための総合情報サイト.

参照URL〈http://tsurutsuru.jp/kotsu2.html〉

2.Vaeyens R, et al. Talent identification and promotion programmes of Olympic athletes. J Sports Sci. 2009 Nov;27(13):1367-80.

3.Brian TF, et al. When Is It Too Early for Single Sport Specialization? Am J Sports Med. 2016 Jan;44(1):234-41.

4.Hume PA, et al. Predictors of attainment in rhythmic sportive gymnastics. J Sports Med Phys Fitness. 1994;33(4):367-377.

5.日本スポーツ協会.発育期のスポーツ活動ガイド.

参照URL〈https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/ltld/ltld_guide_20210331.pdf〉

6.公益財団法人日本ユニセフ協会.子どもの権利とスポーツの原則.

2022. 1 参照URL〈https://childinsport.jp/〉

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