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【連載】しまねの国保連載第37回 今こそ身体活動編「見えない脅威でより不活動に… 」

 みなさんこんにちは。雲南市の北湯口です。平成26年度のスタートからおかげさまで7年目を迎えました。本連載では、身体活動(=運動+生活活動)の概念を正しくお伝えするとともに、日々の身体活動を後押しする確かな情報をお届けすることを目的としています。身体活動のコツ(=大切なポイント)を読者の皆さんに掴んでいただけるよう、やさしくわかりやすくお伝えすることを心がけたいと思います。

 さて、今年度のテーマは“今こそ身体活動”。例年、年間テーマと構成の検討にはいつも頭を悩ませているのですが、今回は特に困りました。なぜなら、TOKYO2020 にちなんでスポーツを絡めた構成にしようと考えていたからです…。いろいろ残念ですが気持ちを切り替えて、こうした状況の今こそ必要になる身体活動のコツ(大切なポイント)を紹介したいと思います。これまでのおさらいになる部分もあると思いますが、コロナ禍を前向きに乗り越える「コロナに屈しない!」身体活動習慣を手に入れるためにも、変わらずにこの1年間もお付き合いをお願いします!


見えない脅威でより不活動に…


 「見えない脅威が迫りくる日常のなかで、私たちは自分たちの健康にどう向き合うべきなのでし ょうか?」と、前号のために原稿執筆していたのは2月中旬のことでした。あれから2か月、新型コロナの影響で社会情勢は大きく様変わりしました。外出自粛要請や、密閉、密集、密接の「三つの密」を避ける行動が求められ、生活習慣が急激に変化しています。とりわけ身体活動の低下は深刻です。


感染も、二次被害も防ごう!


 感染拡大の防止は最優先事項ですが、感染を恐れるあまり「家の中でひたすらじっとする」暮らしが続いてしまうと、心身の健康に悪影響を及ぼしてしまいます。新型コロナ対策では、感染予防はもとより、二次的な健康被害を避ける視点を持つことも大変重要です。このような状況にあっても、少しでも身体活動を増やし、座りすぎにつながる行動を減らすことは、心身の体調を整えることに効果的で、感染を予防する上でも非常に重要な意味を持っています。

 では、具体的にどのような点に気を付けながら活動性を保っていくとよいのでしょ日本運動疫学会*は、外出自粛期間における身体活動の実践や座りすぎの防止に取り組むことを推奨する次の声明を公表(2020年4月18日)しています。


「新型コロナウイルス感染症対策における外出自粛の要請にともなう身体活動不足や座りすぎによる健康被害を防ぐために、「家の中やその周辺において人と人との距離を充分にとって実施する身体活動」を推奨します。」


 当然この声明は、自らの感染や感染の拡大防止に充分に配慮することや、安全に身体活動の実践に取り組める健康状態にあることを前提として身体活動に取り組むことを推奨するものです。この声明では、身体活動の実践や座りすぎの防止に関する6つの具体的な取り組み方法を推奨しています(表1)。このような状況がいつまで続くか不明ですが、今こそ心身の体調をしっかりと整えるために、無理なく安全な方法で身体活動に取り組みましょう。


(1)発熱や咳などの風邪(かぜ)様症状、だるさや息苦しさ、体調不良がある場合は運動(ウォーキングやジョギングなど、体力の維持・向上を目的とした身体活動)を控えて安静にしましょう。


(2)「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(2020年4月16日変更版)」において、屋外での運動や散歩などは生活の維持のために必要なものとされて外出の自粛の対象となっておらず、家の周辺など屋外で運動したり、散歩したりすることに問題はありません。ただし、自らの感染や感染の拡大防止のために、周りの人との距離(2メートル以上)を保つように注意するとともに、人が集まらない場所で実施しましょう。


(3)屋外で運動する際には、他の人が触れる場所(例えば、公園の遊具など)にできるだけ触らないようにしましょう。ウイルスが付着した手で目や鼻、口などを触ることが感染の原因となるからです。顔には触らないという意識が大切です。どうしても顔に触れたい場合には、手を洗ってから触れることが原則です。また、帰宅したらすぐに手を洗う、あるいはアルコールによる手指の消毒を行いましょう。


(4)家の中で、階段を上り降りしたり、居間や庭で柔軟運動したりするだけでも身体活動を増やすことができます。また、家の中で身体活動を促進するゲーム、テレビ番組、ラジオ放送、インターネットの動画を利用するなど様々な工夫をしてみましょう。その際、30分に一回以上、数分間程度、窓を全開しましょう。複数の窓がある場合は二方向の壁の窓を開放し、窓が一つしかない場合はドアを開けることを心がけましょう。


(5)家の中で運動する場合は、少ない人数で、間隔を2メートル以上離し、十分に換気した状態で行いましょう。特に、激しい呼気や大きな発声を伴う運動は感染のリスクとなることが指摘されていることから、そのような運動を行う場合は1人で行うか、他の人との間隔をさらに空けて行いましょう。


(6)長時間の座位行動(座りすぎ)をできるだけ減らし、できれば30分ごとに3分程度、少なくとも1時間に 5分程度は、立ち上がって体を動かすようにしましょう。


** 公式声明発表時点(2020年4月18日)の情報に基づく、健康な人のための推奨。疾患を持っている人は医師の指示に従ってください。今後の感染症状況の変化や新型コロナウイルスに関する新たな知見によって推奨内容が変わる可能性があるため、行政機関や感染症関連学会から発信される予防や管理に関する正確な情報を入手して、それぞれの推奨内容を判断してください。

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