しまねの国保連載「健康にだんだん―あなたもきっとできる!身体活動のコツー」第40回

​今こそ身体活動編

 みなさんこんにちは。雲南市の北湯口です。

 秋の地域行事が新型コロナで軒並み中止・縮小になり、例年より淋しい窮屈な秋を過ごした方も多かったと思います。全国の八百万の神々が集まる神在月の会議の話題も、コロナ禍をとう乗り切るかで持ちきりだったのではないでしょうか。早く、これまで通り、各地を気軽に行き来できるよう戻ってほしいものです。

 今年の2月以降は、県外出張も実家(千葉)帰省も簡単にできなくなり、会議もお盆などの家族行事もすべてオンラインになってしまいました。毎年参加している秋の研究学会も今年はWEB開催でした。どこにいてもつながれるのは便利で安心ではあり、今いる場所で事足りることもいろいろ分かりました。同時に、やっぱり直接行って会ってこそ!というものにもたくさん気づかされました。

 

 「しばらくは離れて暮らす『コ』と『口」と『ナ』つぎ逢ふ時は『君』といふ字に」(イラストレーター・タナカサダユキさん作)

 

 緊急事態宣言中の5月頃、ネットや新聞で話題になった句です。逢いたい君(「コ」+「口」+「ナ」=君)が日々増えている気がしますが、再会を希望に、今一度、手洗いとうがい、3密対策、そして適度な身体活動を徹底したいと思います。

 さて、今回は「体力」についてお話しします。当たり前に使われている言葉でも、意外と思っている意味が人によって違うことってありますよね。体力の意味を正しく知って、コロナに負けない体力づくりを効果的に進めましょう。よろしくお願いします!

体力≠運動能力!?

 身体”不“活動の影響はさまざまな形で表れます。その代表格が、体力の低下です。ところで、体力とは何でしょうか?筋力や柔軟性、持久力などの「運動能力」がすぐ思い浮かぶかもしれませんが、実はこれらは体力全体の一部の要素にしかすぎません。

体力という言葉は、今から50年以上も前に体力科学研究の先駆者により「ストレスに耐えて、生を維持していくからだの防衛能力と、積極的に仕事をしていくからだの行動力」と定義されました※1。ちなみに、ここでの”仕事“とは、何かを成す、やり遂げるための行動全般を指し、生計を成すために働くことも含みます。

 現代の辞書では、「ある仕事が行えるか否か、または病気に耐えるか否かという、身体の強さ(グ—グル日本語辞書)」、「①継続的に物事を行うことができる、からだ全体の能力。特に、病気に対する抵抗力や疲労に対する回復力。②からだの運動能力(三省堂大辞泉) 」などと説明されています。

結局、体力って?

 最初の定義には少し難解なイメ—ジを持たれたかもしれませんが、総じて「ストレスに負けない心と身体の強さ」が体力と言えそうです。どちらかと言うと、身体の強さとしての「運動能力」を体力として捉える傾向が近年は強くなっている印象(筋トレなどフィットネスブームの影響か)があります。私も仕事柄、「運動能力」の側面から体力を見る機会が多いですが、前述の定義からすればこれは身体の強さの一部を見ているにすぎません。運動能力だけでは、病気に負けない抵抗力や心を平穏に保つ精神力などの体力に欠かせない要素が十分に備わっているかはわかりません。その逆もまたしかり、です。

体力の姿

 体力とは普段何気なく使われている言葉ですが、実はそのイメージや解釈が人によって異なっていて、大事な側面を見落としたまま話がすれ違っていることがあるかもしれません。「筋力をつけましょう」「有酸素能力を高めましょう」が、健康を保持増進する上で欠かせないのは確かなことです。ただ、その行動を起こすための意思や判断、意欲、その行動自体に対するストレス耐性といった精神的な部分が備わっていなければ、そもそも取り組むことができません。また、病気を抱えていたり、何か強い不安やストレスに感じることがあったりすれば、単に筋力や有酸素能力を高めることよりその対処が優先されるべきです。

 当然ながら、身体・精神といった側面だけからは見ることのできない、その人なりの人格や社会的立場などの背景があり、体力は形作られています。少々大げさな表現になりますが、多面的で、総合的、そして全人的な観点から体力の姿(全体像)をとらえることが大切です。ここまでの説明を踏まえて、体力の構成要因が整理された下記図をご覧ください。

【身体活動のコツ】国保11月号図.jpg

前号のお約束…

 前号で、私の夏場の身体活動の状況を報告する約束をしました。自身の防衛体カ(免疫)を低下させないようにと、4月以降よく歩いていたのですが、8月の暑さを理由にさぼり気味になったのをなんとか回復させると宣言しました。その結果ですが、なんと使っていた歩数アプリが機能不全になってしまい、わかりませんでした(涙)。でも、それなりに身体活動と栄養に気を遣って実践したためか、9月の健診結果で数年ぶりに、腹囲とBMIが正常範囲に戻っていました!これでようやく産業医の先生から、「エクササイズを(しなさい)!」という結果表へのコメントをいただかなくて済みそうです(汗)。

(参考)

I. 猪飼道夫等編 体力と身体適正 体育科学辞典 第一法規出版 1970. P100 

2. 猪飼道夫.日本人の体力.日本経済新間社.1967

2020年11月30日